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好きなことが見つからない

 (以下は、5月7日の「進路だよりNo.4」からの抜粋です)


好きな事が見つからない

評論家 金 美齢

 

 まず問いたいのは、好きなものに出合う努力をしているのかということ。特別な才能がある人ならともかく、好きなことを見つけるのは簡単なことではない。努力もせずに「見つからない」というのはお門違いである。仮に好きなことに出合えたとして、それを将来に生かせるかどうかはまた別の話だ。

 

 就職も同様である。就職難の時代、選べる立場にある人はごくひと握り。自分が選ぶよりもまず、他人に選ばれることが先決だ。自分がどんなに興味を持っていても、先方の企業にそっぽを向かれたらおしまいなのである。とすれば、好きか嫌いかは後回しにして、とにかく与えられたことをやっていくしかないだろう。

 

 かつて私は、子供2人にこう言ったことがある。「あなたたちに特別な才能があるなら応援する。でも、絵も描けないし、歌がうまいわけでもない。だったら、普通に勉強して、普通に就職するという道を選ぶしかないでしょ」 娘や息子のように「最大公約数的」な人間は、最大公約数の人生を引き受けるしかない。もし、わが子が好きなことしかやりたくないと言って仕事に就かなかったりしたら、「甘ったれるな」と叩き出しているだろう。

 

 「3年間、惚れた腫れたはなし。弟子入りした気持ちでとにかく勉強しなさい」。大学を出た娘が、テレビ局に就職したときにはそう言い渡した。石の上にも3年というが、まさにそのぐらい腰を据えて向き合ってみなければ、仕事の適性は判断できない。結果、どうしても向かなければ、仕切り直しするチャンスはいくらでもあるはずだ。これが小さいうちなら、習い事をさせて可能性を広げてあげることもできるだろう。私も娘にピアノを習わせたり、児童劇団に入れたりしていた。ピアノを弾くことで音符が読めるようになり、劇団に入ったことで滑舌はよくなったものの、プロになるような才能がないことはすぐにわかった。息子には水泳を習わせていたこともあり、国立大学の体育専攻に推薦で合格できた。アウトドア好きの彼は伊豆七島の島あたりで、体育の教師をしながらのんびりと暮らすつもりだったらしい。 これに、猛反対したのは夫である。「勉強しないで大学に入るような安易な人生を考えるな」と言うのだ。結局、息子は浪人して別の大学に進み、商社マンになった。彼は最小限の努力で成果を得るような計算高いところがあり、開放的な家に育ったため物怖じしない性格でもある。教師になるよりも、実業家のほうが遥かに向いていたと思う。

 

 そもそも、子供はいつまでも親のスネを齧っていられると思うから、「好きなことが見つからない」と甘ったれた言葉が口にできるのだろう。とりあえず食べていかなくてはならない状況なら、好き嫌いはさておき、収入を得る道を探しているはずである。私自身、日本に来てから語学を教えて食べつないでいた時期がある。収入が生活を支え、留学資金もできると思うから、好きな仕事でなくてもやってきた。そうやって我慢を経験し、子供たちを育てながら人生を積み重ねてた結果、娘の同僚の目にとまり、テレビに出していただくようになったのが59歳のときだった。


 

2013.5.17 更新

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